はやくも3度めのオンラインイベント開催
今回の対談を行なっていただいたのは、現在は謝罪マスター / 作家で活躍中の竹中功さんとコラムニストであり伊勢うどん大使でもあり、そして最近はコミュニケーションマスターも称している石原壮一郎さんのおふたりです。
今回の対談は特に世代に関わらず、ふだんどうやって生きたらええんやろ? みたいなところのAnswerもたくさんあったと思います。そして何よりも竹中さんと石原さんのお話のテンポが小気味よく話がどんどん繰り出されていきました。そんな一部始終の一部をレポート記事としてご紹介します。
出会いは30年以上前
これは打ち合わせの際に知ったことですが、おふたりは32年前、取材で出会っていたそうです。これは全く知りませんでした。
石原さんがダウンタウンのふたりを取材するとき、当時よしもとで広報をされていた竹中さんと出会ったのがふたりのはじめての出会いだったそうです。
そして今はコラムニストでもある石原さんが最初にコラムを書いた仕事も、じつは竹中さんからの発注で書いた「マンスリーよしもと」のコラムでした。その中身はリメイクされたアニメの話だったそうで、まだ20代前半だった石原さんがコラムニストとしての初めての原稿料は15000円だったそうです。これに関して竹中さんは「わりと払ってましたね」とのことでした(笑)。
竹中さんもよしもと在籍時に、いわゆる謝るような仕事が増えた結果、竹中さんは謝罪マスターを名乗るようになりました。竹中さんが書いて話題になった本「よい謝罪」(日経BP社)は、会社員時代、よく謝っていたから、その内容の本を書けばいいんじゃないかって言う、担当編集者の真理さん何気ないひとことから出版することになったと言います。
「よい謝罪」の極意は、謝り方を教えるふりをしながら、謝らなくてよい方法を教えること。本のヒットもあり竹中さんは危機管理の専門家としても活動する機会も増えていきました。
竹中さんは言います。謝罪のときの服装や格好も大事やし、謝罪に出向くときに持っていく菓子折りは洋菓子より和菓子のほうがいいと。「マカロンは謝罪に向かない」という名言も作られました。
コミュニケーションのはなし
話は徐々に本題に入っていくなか、コミュニケーションの話に入ったとき、相手が何かを聞いてくるようなシチュエーションで、いい言葉が出なかったときにどう返すか? と石原さんが竹中さんに聴きます。そのシチュエーションで竹中さんは「すみません、話を聴いてませんでした」と返答するのも手だと言います。
相手の問いかけに対して「聴いてませんでした」というと、問いかけた側も怒りようもないんじゃないかと。もしくはブーメランで相手に返すことも有効な手段で、答えに詰まったら質問で返したり、言ったことをそのままオウム返しすることも手段として持っておくと良いんだろうと感じた。
竹中さんは会社員時代から刑務所で服役している人たちへコミュニケーションの先生をやっています。刑務所で10年以上服役している人たちは、シチュエーションを考えると容易に想像出来ますが、普段質問はされることはあるけど、逆に質問するような状況はほとんどないそうだ。だから竹中さんは、これから社会に出る服役者に対しては、自分が答えやすい質問を考えてもらうことをするんだそうだ。
たとえば誰かに好きな映画は何ですか?と問うときには、問いかけた側は自分が好きな映画が何かを考えていればいい。つまり竹中さんは興味があることを話題にすることが大事だと。だからその手前で自分が何に興味があるのか知っていることが大事になってくると刑務所では教えているそうです。
竹中さんはほかにも物を書きたいひとには本棚でも立ち寄った書店でも、一番興味のない本を読んだほうがいいと言います。それに対しては視点を広げるうえで大事な視点だと石原さんもおっしゃっていました。そこにある大事なものは、常に同じようなものばかり見るんではなく、もっと視点を変えるために読んだことない本を手を取ってみることで、新たな視点を身につけることが大切だということが分かります。何気ないアドバイスのようで、それを積み重ねれば非常に大きなアドバンテージを持てるような気がしました。
いい雑談とは?
最近急にブームが来たと思ったら、まったくさざなみのようになったClubhouse。竹中さんもちょくちょくやってはみたものの、Clubhouseはあまり馴染まなかったんだそうです。竹中さん個人の体感としては、仕事しながらAMラジオを聴いているほうが良かったと。やっぱりラジオが音声コンテンツの王様だと言います。ちなみに石原さんはClubhouseはまだ未経験らしいです。
石原さんは竹中さんの話に対して、雑誌やラジオはYoutubeと違って何が次に飛び出してくるのかコントロール出来ないのがいいと言います。本屋もそうですが、思わぬ発見があるところがいいと言います。
このような考え方に賛成できるのは、本当に探したいものをピンポイントで探しに行くことが当たり前になっているなかで、いかに思わぬ発見をすることが大事か痛感することがあります。でも検索することに慣れている僕たちは、なかなか思わぬ発見ではなく、猪突猛進的に答えに突き進みます。しかしそれではダメなんじゃないか、と竹中さんと石原さんが一貫して危惧されている点には本当にそう感じる。
いい雑談とは何か。雑談の本が多く出版されているということは、世の中雑談が苦手な人が多いんだと思うと石原さんは言います。そもそも雑談は正しい雑談をしようと思っていると永久に雑談は出来ないし、雑談偏差値の高い雑談なんかないとも言います。竹中さんも雑談とはいろんなことを知ってないとあかんなんて間違いやと続けます。
おふたりとも雑談について、何かを求めることは間違いだし、むしろ何かしゃべることに意義があり、黙らずに意味のないことでも音声に出すことが必要だと言います。
空気を読む匠の技
空気を読むにはどうするか。これについて石原さんはビクビクし過ぎていると空気を読み間違ってしまうし、竹中さんも空気を読むのはどれだけ場数を踏むかで慣れだと言います。
その場で100点を取ろうとする人は空気を読めないし、もし読み間違えた場合、どうしたらそれをリカバリー出来るか、空気を読むことに関してどう転がっていけるのかって境地になれたらどんどんよく読めてくると思うと石原さん。
空気を読むことに関して重要なのがアドリブ力。これは先にも出てきたリカバリー出来るかどうかにもつながってくるところで、アドリブは正当なキャッチボールも出来るから変化球も投げられるようなものなので、これも練習量の差が出てくると思うと竹中さん。
石原さんはアドリブ力を磨くためには食べログを見るなと言います。これは最初から答えを求めることにも通じますが、評価を気にして当たりしか気にしないことは良くないし、まったく評価を知らない店に入り、ご飯を食べることこそアドリブ力だと思うんですと言います。おふたりは今のネタバレに関して怒りが極端に激しい世の中の風潮にも警鐘を鳴らします。
吉本のすごさは違うことに美学があるところだそうです。リハーサルと本番、同じことをやると怒られることもあるようです。もっと面白いことをやれって言われるし、そこで場数を踏んで空気を読むことはが養われていくんだと。変わらなあかんと思う力とへこたれない力がお笑い芸人の空気を読むことを深化させる源泉になっているようです。
最終的に空気を読む読まないに関わらず、相手がどう受けるか気にしすぎて何もしないよりも、相手のことを気にせずに好きなことを喋ってみることが練習になるかもしれないと。そして相手に合わせるとだいたい失敗するので、自分が好きなことをいっぱいしゃべることが大事だと。そうすると話の中身よりも人間が魅力的に映ると思うと竹中さんは言います。
好きこそものの上手なれじゃないけど、好きなことがしっかりある人は豊かだし、一生懸命になれる1ネタがあるマイブームがある人が強いって、これは別に空気を読む読まないに関わらず、生きていくうえで大事なことであるな、と思いました。
世代間ギャップ問題
ここでの話はいきなり結論が出ます。石原さんが話題が合わないのは合わないままでいいと結論を最初に言いました。そして世代間ギャップを楽しむことが大事とも。
竹中さんが言ってくれた高田純次の話は本当にそうだと思うんですが、「自慢話・昔話・説教」は全然ダメだし、これらの話をネタにしている人は楽しくない人だと思うって全く同意出来ると思うんです。本当に自分も気をつけなくてはいけないな、と改めて思いました。
竹中さんはマウントを取られ上手を目指そうと言い、取りたいやつには取らせとけばいいと。傷も受けないように上手に投げられる側になろうと。石原さんも受け身をうまく取ることがこの先うまくやるコツだとおっしゃってくれました。
最後に竹中さんの話のなかで一番大事だと思った言葉で、今回のレポートは終わります。
Don’t think! Feeeel.
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Grafic report:ばばちゃん@bremen555
Text:Daisaku Mochizuki