就職氷河期を乗り越えてきたまえとあと【後編】

徳田匡志
collabo Inc. Founder
藤原健太郎
マーケッター
望月大作
まえとあと編集人

鼎談の後半は世代に対する考え方を深掘って、きっと僕らなりの世代論の結論がここでは語られているはず!

Profile

徳田匡志
1982年大阪生まれ。大学卒業後に外資系ゲーム機のローンチPRプロジェクトに参画。その後インターネット領域の上場企業で広報/IR(投資家向け広報)を担当し、2018年2月にcollaboを設立。テクノロジーや食領域で、広報、IR、イベントなどコミュニケーション領域についてのコンサルティングや事業開発をサポート。
藤原健太郎
1980年岩手県花巻市生まれ。法政大学社会学部卒。インターネット関連サービス企業数社などの勤務を経て、現在は大手フィンテック企業にてBizDevを担当。
30代後半からジムでのトレーニングとランニングをはじめ、フルマラソンのベストタイムは3時間13分。
望月大作
このメディアの運営/企画者

Index

若い世代とのギャップについてどう捉えるか

望月

お二人は仕事をしている中では、学生には全然会わない感じですか?

藤原

僕はいまある意味で学生だから。

一同

望月

そっか。MBAを取りに行ってるもんね。

藤原

でも土日だけの学生だけど。

徳田

俺は新社会人や20代の若手の人とはきどき仕事で会う。だからその生態系はわからへん部分がある。もちろんテレビとかYouTube、メディアを通じてのイメージはあるけど、それは正しいかわからへんしね。

望月

僕が持っている今の学生の印象は、うちらが学生のころと比べると真面目な印象があるかな。

藤原

理解力は高いんじゃないの? 普通に考えて。

望月

僕らよりも上の世代より、下の世代の方が空気を読むよね。

平林

世代的に一番空気が読めないのってどこだろうね?

望月

そりゃあれじゃないですか、バブル世代じゃないですか。(個人の見解)

徳田

なるほどね。あともう1つ年齢もあるかもしれへんよね。世代の話とは別に、「いま学生だから」「いま10年目だから」「いま定年になったから」で状況が変わるような気もして。

平林

ちなみにジェネレーションギャップって感じることはありますか?

望月

もう40歳になったので、ちょこちょことは感じることがあるかな。

徳田

そこまではあまりないな。そもそもそこまでジェネレーションギャップを感じる層と接点がないのもあるかも。

平林

あとジェネレーションギャップを感じたときに、ある意味ギャップだからいいところと悪いところは本来ないはずなんだけど、引け目を感じちゃうことってありますか?

この前あった話は、「そんなの若い子たち誰も言いませんよ」とか「そんなの若い人は来ませんよ」と言われると、本来それは世代の違いだからいいとか悪いではないんだけど、若い子の方に基準を置いてしまうときがあった。

徳田

言葉の使い方は、もしかしたらそうかもしれへんね。

平林

おじさんの言葉とかあるわけじゃないですか。「若い子はそんなことは言わない」って。 例えば僕がこの前「出会い系」と言ったら、若い子たちに笑われたんです。

望月

「マッチング」ですよね。

藤原

確かに今「出会い系」とは言わないですね。マッチングアプリですね。

望月

でも、それって言い方ですよね。

平林

そのときは難しいと思ったんだけど、でも「出会い系」で何が悪いのかな?

望月

マッチングサイトも「出会い系」といえば「出会い系」だと思うんだけど。

平林

そこにギャップも感じながらも、どこかで若い子に合わせるのは間違いだと思ったし、そもそも合わせようとしても感覚的に直感的に合わせられなくなっていて。

藤原

そこは若い子に合わせた方が、逆にかっこ悪いから、合わせる必要ないと思いますけどね。合わせると媚びてる感があって逆にダサい(笑)。

望月

めっちゃマッチングサイトと同世代が言ってても嫌ですもんね。

平林

無理に合わせようとしたら、どうやっても追いつかないですね。

世代で分けるよりも、環境要因で変わるものがある

望月

僕らよりも若い世代ってラジオも聞きますもんね。ラジコがあるから。

徳田

あとはポッドキャストやね。

望月

ポッドキャストもだいぶ流行ってますか?

徳田

俺はよく聴く。もともとラジオ好きやから、その派生でずっと聴いてるかな。

平林

いろんなことに追いつけなくなってる。

一同

平林

むしろどんどん都会から離れて島で生きていきたい。

徳田

島の若者はどうなんかな。島の若者は東京の若者に近いんですかね?

平林

どうなんだろう。島の若者のことまで考えてなかった。

望月

でもインターネットがあったら意外と同じ生活が出来そうなんだろうか。

徳田

(インターネットがあれば)変わんない気もするけど。

平林

そうですね、ある意味ね。

徳田

違うところがあるとすれば、俺らでもそうやけど、学生のときの友だちと話すときと、東京で就職してから出会った人と話すときで、考え方が全然違うんよね。もちろん人によっても違うけど、学生のときの友だちのほうが保守的。

学生のときの友だちは最初の会社に入って、大阪を出ることがない人も多かった。そういう実体験もあるから、年代よりも地域差があるんちゃうかな。

望月

Facebookを見ても、しっかりお父さんしてるもんね。

徳田

そうそう。

藤原

それが不幸かと言われるとそうでもないから、そこはわかんないよね。逆にそれの方が変な横道を考えなくていいから、実はいいかもしれないし。

望月

環境要因はすごい大きいと思う。みんな生きていると付き合う層も変わるし、こうやって続く層もあるけどね。僕は30歳ぐらいで、それまではずっと付き合いも含めて全部抱え込もうと思ってたんですけど、色々あって、とりあえず関係も含めて手放すことを覚えたら、楽になった。付き合う層も30代以降は目まぐるしく変わっていったところもあるし、気持ち的にも余裕が生まれて。

藤原

関係を抱え込むっていうのは、1回関係を持ったら離さないで留めておきたい?

望月

そうです。関係を手放すってことをやめられない状況が正しい方法かなみたいな感覚があった。

藤原

「ズッ友」がいいみたいな?

望月

そうそう。

徳田

ずっ友って懐かしいな(笑)。久しぶりに聞いた。

望月

人間関係を全て抱え込んだり、自分が間違っていると思った人は正しい方向に導かないといけないみたいな謎の感覚があってね。

藤原

その状況だと関係のあった人が離れていったら疲れちゃうね。

望月

そうなんです。だからベクトルの向きは変えられへんなって頭の切り替えをした。ベクトルの向きを変えるのって物理的にも大変じゃないですか。じゃあベクトルが近い人たちといた方が楽だって感じだったんで、だいぶ気持ち的に手放せたかなって。もちろん実際は手放してるかどうかわかんないけど、気持ち的には手放せて、だいぶ余裕が生まれて。

藤原

私はもともとあまり人間関係に執着してないから、そこはよくわからないけど。

望月

ここまで僕は人間関係でやってきた部分が多少あったんでね。

藤原

でも、それって悪いことじゃないよね?

徳田

情報処理にも近いかも。人間関係も1つの情報やから、増えすぎてそれが処理しきれなくなってきたのかもね。。その関係って減らへんもんね。

望月

だから今は無理にいろんな人と会いに行こうってことは極力減らしたかな。たまにこうやって会ったり、ちょっと呼んだときに呼んでいいとかね。基本的には今いる友人たちで色々な相談もできるし、やりやすいかな。

パキッと割るような世代論は不毛

望月

徳田さんが言っていたように、◯◯世代論は、世代、環境も含めて、ズバッと世代を分けるんじゃなく、正解というか、「そうなんだろうな」と思いつつ、分けたがる人間の性みたいなものが出ちゃっているんだろうね。

藤原

分けないと違いもわからないから、分かりやすいように世代を分ける感じなんじゃないかなとは思うけどね。

徳田

線ではなくて、ふわっと世代も分かれている気はする。東京とそれ以外の地域みたいなこともそうやろうし、子どもがいるかいないかでも分かれるんやろうけど、あまり線でズバッと分けられる感じで考えない方が良い気はする。境界線が曖昧な部分も多いし。

藤原

グラデーション?

徳田

そうそう、0→1というか、0.6:0.4ぐらいとか、そんな気がしている。どうしても線を引きたがってしまうから、それに気を付けなあかんね。「若い人は」とか「◯◯世代は」って。俺らだって「ゆとり世代」と下の世代を決めつけた部分もあったりするけど、言い方も松坂世代みたいな言い方ならまだいいけど、あまりそういう押し付けをするのは良くない。

逆に俺らもそう思われている可能性はあったわけやしね。世代がわかるのは確かに大事なことで、そこを分かった上でどう折り合いをつけていくかとか。

望月

どっかしら重なってる部分があるからね。

徳田

くっきり国境線みたいなことはない気がする。前編でも言っていたみたいに、遠くから見たら一緒やからね。

藤原

昔からほぼ何も変わってないでしょ?

徳田

そんな気がする。

たまたま世代で分かれるような事例が近くにあっただけ

望月

グラデーションは確かに存在していて、

藤原

境界を分けるのは人間の生理としても性なんだけど、そこがうまくハマっていた時期が日本としては戦後の一時期だけじゃないかな。そこでたまたまハマっただけで、むしろ今の方がここまでの流れとして全体から見たら本来あった流れなんじゃないかって。

だから戦後の一時期の世代論みたいなものが異常だっただけだと思う。こうすればこうなって、こうなると結婚できるみたいなものが。

徳田

わかりやすかったんやろね。

藤原

だから、安倍さんを支持していた人たちが理想だって言っている家族制度は、明治維新以後の100年前にできた制度として、たまたまそうだったけど、もっと遡れば昔は全然違っていたみたいな話もよくある。そういう流れで変な正義に眉唾で騙されるんだろうなって。

徳田

数千年とかじゃなくて、数十年ぐらいの話が昔って言われる感じはあるよね。

望月

結局、先のことも見据えないといけないけど、全然それもわかんないまま進んでいるのが性なんで。

藤原

もう見据えたところでも変わってしまうからしょうがない。だから見据えてもしょうがないって個人的には思います。

望月

たしかに。そういう意味では一番変化に対応できる人が生き残るっていうところかな。

Edit & Text:Daisaku Mochizuki
Photo:Katsumi Hirabayashi