41になったまえとあと

望月大作
まえとあと 編集人

生きていれば歳を取るんですが、もはやこの歳までくると数字でしかないことに気づく。同じ年齢でもこうも違うのかと。常に好奇心旺盛でありたい。

Profile

望月大作
同志社大学大学院修了。修士論文のテーマは「ガンダム」。さまざまな企業に勤める傍ら、十数年前にソーシャル系大学、「ツブヤ大学」を立ち上げる。直近ではWebメディア「十中八九」の編集長を退任後、Webマガジン「まえとあと」を立ち上げ、編集人となる。所持する資格は車の免許以外に、漢字能力検定2級/歴史能力検定世界史2級/知識検定1級。

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望月、ジョン・レノンよりも歳上に

今月、ジョン・レノンよりも歳上になった。
もちろんジョン・レノンはTVの中のひとだけど。そして41歳になった実感が全然ない。30代のどこかの時点で、あまり歳を考えなくなった。週1だけど、筋トレをイチローが引退した年から始めていることも影響があるかもしれない。

自分の年齢が40を越えて、多少なりとも焦りを感じる一方で、京極夏彦さんも松本清張さんも自分と同じぐらいの歳から、そこから先の本業となるキャリアをスタートさせたことも考えると、もしかしたら、まだこのさき実は本業になり得るものをスタートさせる可能性もある。

何がやりたいのか、正直「絶対にこれだー!」と思うものはまだ出来ていないと思う。誰と何をやるかのほうが、いまは大事かもしれない。

反骨心ではじめた「まえとあと」も数年続けることが出来ている。それなりに読まれている記事もあり、本当にありがたい。

そしてそれは別にすごい実績がある人だけではなく、この人に話を聞きたいな、と思った人の記事が読まれる機会が多い。そこの点についてはやっていて良かったと思う。

今の原動力は「聴くことが好き」

ここ数年でより強く感じるのは、いろんな人の話を聴くことが好きなんだ、ということ。もちろん自分も話し出すと止まらないぐらいネタは多くあるんだけど、自分の話よりも、ほかの人の何気ない話を聞いているほうが、アドレナリンは出ている気がする。

それが「まえとあと」を続けている原動力に、今はなっている気がする。さすがに反骨心全開で突き進むのはもって2年が限界だ(笑)。とはいえ、あのときのことはずっと憶えているけど(笑)。

いろんな人にはいろんな立場があり、その立場も時間経過で変わり、考え方も変わるのが人間だから仕方ないとはいえ、数年経って「まだそうだんだ」と思うこともある。

アリスとテレスのまぼろし工場」を見たんだけれど、あの場所と同じような状況下に置かれていないだろうか、と常に自問自答することは必要かもしれない。

学ぶことを止めると人間は停滞してしまう。かといって陰謀論に傾倒することはナンセンスだし、あれに傾倒する人は知らないうちに考えることを止めてしまった人たちなのかもしれない。

何度かどこかでも書いているけど、自分はSNSというツールが現れてくれたおかげで、いろいろと景色が拡がった。もしなければ、今はどんなことをしているんだろうか。職場と家の往復で愚痴ばっかりこぼしているかもしれない。

でも実際は本当に多くの関係を築けた。

いろんな人の話を聴きたいと同時に、いろんな人の交差点になるのがいいんじゃないか、と思っていて。

学生や若い人たちに何か還元したい、と思うこともそのひとつで、ちょっと肩をひとおしできるようなきっかけを作れたら、一気にコトが動くのにってことがあるじゃないですか。せっかく1〜2人を介せばほとんどの人とつながれるような世の中にあって、そのあいだに入る1〜2人になって、媒介できるような交差点になり得ないかみたいなことは常に考えている。

別に交差点は場所ではなくてよくて、それって概念的なもので、ある意味キュレーション的なものなのかもしれない。

何かを掛け算すること

オリジナリティが大事だと言われるなかで、そんなオリジナリティの類型はほぼすべて出揃っているなかで、いま本当に大事なことは掛け算で、何と何を掛け算すれば面白いモノができるか、これはすごく大事だと思っていて。

ツブヤ大学からずっとそれは思っていることだけど、誰と誰を掛け算すれば、何か面白いことになるかってことはずっと追究していきたい。

あのときも落語家と声優の掛け算が面白いと思ったから、立川志ら乃さん×関智一さんのトークセッションをやったり(まさかあのイベントで関さんが志ら乃さんに弟子入りする展開になるとは思わなかったけど)、バウムクーヘンナイトもヒット企画だけど、あれはもともとバウムクーヘン1本があれば、面白いことになるんじゃないか、ってところからだし。

シウマイ忘年会も、ずっと以前からシウマイ弁当の食べる順番にはこだわりがあるという話を聞いていたから、シウマイ弁当を食べながら順番うんちくを語るイベントになれば、がきっかけで。そのあとそんな同人誌を作っている市島さんといろいろやろうことになるなんてことも考えていない。

意外に、きっかけと掛け算の仕方は、ツブヤ大学では直感だった。

久しぶりに、望月はリアルイベントを計画中

当日はカオスなほうがトークセッションは面白い。でも当日に至るまではカオスなことなく進めるほうがいいと、いつもイベントごとでは思っていて。

ツブヤ大学や他のトークセッションに足を運んでくれる皆さんには本当に毎回感謝しかないし、いつも集客ってしんどいので、始まるまでは辛いって思うことのほうが多いけど、終わった瞬間は達成感があり、何とも矛盾を抱えながらやっていた思いがある。

ツブヤ大学を閉じようと思った遠因はコロナだけど、数年経過し、そろそろ「まえとあと」でもオンラインではないリアルイベントを開催したいと考えるようになりました。

というわけで、2023年中にリアルイベントを開催したいと思い、現在準備を進めている。もう3ヶ月しか2023年がないなかで、内諾はほぼもらっているので、あとは場所を決め、日程を確定させることができれば開催となる。

日程、どんな座組、どんなテーマなのかは決まり次第、また改めて。

Text:Daisaku Mochizuki