逗子の日本酒事情とは
今日はコラボですが、ズシレコは収録と配信をはじめて今日で何回目ですか。
來島政史(ローカルメディア「ズシレコ」編集長)
これで92回目です。毎週配信をやっていたころが2年ぐらいあって、隔週の配信になって1年と少しです。トータルすると2019年からずっとやってますね。
小池潤(SAKETIMES 編集長)
もうすぐ100回目ですね。
來島
そう。100回目は何しようかと思って。まえとあとは逗子にゆかりがありますよね?
なんだかんだあるね。前と後の”前のメディア”をやっていたときに、田中さんが逗子に移住した話を聞いて、なぜ逗子なんだろうというところからかな。
それで田中さんが逗子に来た話を聞いたら意外と面白かった。そうすると小池くんや他の人も含めて、みんな逗子に移住してきた。そこでもともと逗子が地元の來島くんにも話を聞いたんだよね。
來島
まえとあとは、そうそうたる人たちに取材されているじゃないですか。なんで僕が?みたいな感じだったんですけど。
ある意味では逗子枠(笑)。逗子在住の人の話を「まえとあと」で聞くだけでも面白いんだよね。あと小池くんみたいに、これまではまったく逗子にご縁がなかったような人が、いろいろなタイミングで逗子に来た話も面白い。そもそも來島くんは地元の人だから、新しく小池くんと接点を作ったりして、さらにまた新しいものができる面白さもある。小池くんも逗子でいろいろやっていく上でも、來島くんと接点があると、あとあと面白くなるし。
小池
ありがとうございます。
來島
縁をつないでいただいてね。前と後を読んでいたら、逗子に住んでいる小池くんがいると知り、SAKETIMESの編集長だった。今日は編集長・編集長・編集人の組み合わせなのか。
小池
そうですね。
來島
メディア規模は全然違って、僕が一番スモールですけど(笑)。
いやいや、うちもスモールです。
來島
それぞれもメディアをやっているってことですね。
そうですね。小池くんが一番メディア歴が長いんじゃない?
小池
どうでしょうか。編集部に入ってから7年目、編集長になって5年目ですね。
來島
もともと社会人になったときから、編集・ライティングなの?
小池
そうですね。もともとは大学生のときに言葉を扱う仕事がしたいと思ってました。大学時代に日本酒に1ファンとしてハマったタイミングで、たまたま今のSAKETIMESの編集部のインターンに飛び込み、そのまま社員登用となり、さらに編集長になった流れですね。
ちなみに小池くんは文章を書きたいわけではないよね(笑)
來島
お酒が飲みたい?
小池
お酒が飲みたいのはありますね。文章を書くことは嫌いではないんですが、得意ではなく、ただ伝えることが好きなんです。だからこそ編集という仕事を選んでいるのかもしれないですね。
來島
いまSAKETIMESは何人ぐらいの体制でやっているんですか?
小池
編集部はアルバイトを含めて7人ですね。その他に、外部のライターさんがいらっしゃいます。
來島
SAKETIMESでの仕事をインターンのときから見ているということは、メディアが出来て何年ぐらいになるの?
小池
うちのメディアは2014年に創業で、8年目です。
來島
なるほど。僕ばっかり聞いちゃっていますけど大丈夫ですか?
小池
僕ばっかり聞かれちゃってますけど大丈夫ですか?(笑)。
大丈夫(笑)。逗子の日本酒事情はどうなんですか?
來島
逗子の日本酒事情ですか。今この収録をしている「純粋時間さん」の下が、「井上商店」という逗子でお酒を買うならまずこの酒屋なんです。逗子にはお酒がおいしいお店はいっぱいありますけど、自宅用と贈答用に買うとなると、僕も井上商店で酒を選びます。小池くんから見て井上商店さんはどうですか。
小池
いい酒屋さんですよ。めちゃくちゃ具体的な話になっちゃうんですけど
來島
具体的な話が好きです。
小池
大阪に「呉春」という銘柄の日本酒があるんですけど、東京ではほとんど見たことがなくて、でもすごく大好きな「呉春」が、なんと井上商店さんにあった。もう僕の中ではめちゃくちゃポイント高いですね。
來島
なるほど。呉春があったのは、すごいヒットでした?
小池
やるなと思いましたよ。
井上商店では日本酒のセレクトがされているということ?
小池
だと思いますね。お店の意思でお酒を選ばれていると思うんですけど。まさか「呉春」と逗子で出会うとは思わなかったですね。「呉春」を見つけたときは「おっ」とちょっと声が出ました。
一同
笑
小池
井上商店には僕の好きな「呉春」もありますし、日常使いできる全国各地の良いお酒がいっぱい揃っているんで、いい酒屋さんだと思いますね。
來島
実は僕日本酒はそこまで詳しくはないですし、飲む機会もビールの方が多いんですけど、そんな人にオススメの日本酒への入り方はありますか?
小池
そうですね。日本酒がおいしく飲める店は料理が美味しいことが多いので、まずは料理を目当てに行くといいと思います。最悪そこで日本酒を飲まなくてもいい。僕の入り方がそうだったんで、どうやら日本酒がたくさんあるところは、まずご飯が美味しいなと思って。
お店に食事に行ってたら自然と引っ張られる感じで日本酒を飲むようになった。逗子の中にも日本酒を置いているかつご飯がおいしいところがたくさんあるので、美味しいご飯目当てにまず行ってみるのが一番良いですね。
來島
めちゃめちゃいいことを聞いた。和食系の料理と日本酒の組み合わせがめちゃめちゃ多いと思うんですが、それ以外の組み合わせで日本酒を楽しめるお店はあるんですか?
小池
そうですね。それこそ逗子にある「KOYA」さんはジビエ系の料理がメインで、日本酒や国産ワインを出しています。「しまだ」さんも洋食と日本酒をメインに出しています。和食以外の洋食も、ベアリングブームが来ていて、逗子にもペアリングをする店はあり、さらに都内に行くと増えてきた印象がありますね。
大善という名の逗子のソウルフード
來島
すごく今日は勉強になる。僕の聞きたいことばっかり聞いてるんですけど。
來島くんに聞きたいことは?
小池
コロナ禍のなかで逗子に来たんで、正直逗子のお店をまだ開拓してないんですよ。イベントにも顔を出してないので、コロナがやってくる前の逗子の面白いイベントや、來島さんおすすめのお店を知りたいです。
來島
おすすめのお店で言うと、それこそ「KOYAさん」や「しまださん」がめちゃめちゃオススメです。あと地元にいるとソウルフードじゃないんですけど、思い出補正がかかって、他の人からすると大したことないと思うけど、幼少期から食べている分、すごく「ただいま」みたいな感じのお店があるんですよ。それが「大善」という定食屋さんです。大善の肉野菜炒め定食とチャーハン、唐揚げ定食が美味い。ご飯もこんもりで。
小池
大善は量がめちゃくちゃ多いですよね。
來島
めちゃくちゃ量が多くて、しかも味噌汁のお椀に、なぜかラーメンの麺が入ってるんです。味噌汁でも中華スープでもなく、何のラーメンかと思って食べてみると、若干麺が伸びているんですよ。「大善」は僕が物心ついたときぐらいからずっと通ってるんで、僕は大善に思い出補正がかかってます。
小池
逗子に来てから大善には一番行っていますね。
來島
いつも大善では何を頼んでます?
小池
僕はシュウマイ定食ですね。
來島
シュウマイ定食はなかなかの変化球かな。
一同
笑
來島
シュウマイ定食は時間がかかりません?
小池
ちょっとかかりますね。
來島
大善のメニューの中には注文してすぐに出てくるスタメンと、ベンチがあるんですよ。スタメンのメニューは野菜炒めやチャーハンですね。
小池
炒める系のメニューは出てくるのが早いですね。
平林
シュウマイってメインのおかずになる?
小池
なります。シュウマイがおかずのメインになることを大善で知りました。
平林
でもメインおかずがあって、脇にシュウマイだと思うんだけど。
來島
崎陽軒でもない限りシュウマイがメインだというのは、なかなか他にないですよね。
小池
シュウマイがメインでもいけます。シュウマイ定食もそうですけど、特定の定食に付いてくるフライドポテトとウインナーがしょっぱくて、それでご飯3杯ぐらい食べられます(笑)。
來島
大善は逗子のソウルフードなんです。
小池
ソウルフードですね。「大善」に来る人は若い方も多いですよね。
來島
逗子で生まれ育った人は、僕みたいに子どもが生まれたりすると、子どもと一緒に家族で大善に行きます。
平林
いい話。
來島
大善は基本味が濃いめなので、それが好きな人にはたまらないです。僕は肉野菜炒め単品とチャーハンです。大善は肉野菜とチャーハンを絶対に食べてほしいですね。
小池
チャーハンは食べたけど、肉野菜はまだですね。
來島
そして唐揚げ定食で火傷するまでが1セットです。
平林
大善は昭和の香りが残る街の定食屋だって。
よく行く外食先は決まっている感じ?
小池
そうですね。一番よく行くのは「大善」ですね。駅の反対側にはあまり行ったことがなく、行ってもお店がコロナ禍でやっていない場合もあって、まだ未開拓のエリアが多いです。
來島
逗子はお店が駅前の商店街とその辺りに集中していて、あとは葉山ですね。葉山にも地元の人が行くような大善的なお店があって。
小池
葉山の「大善」があるんですか。もしかすると、みんなの街にも「大善」があるのかもしれないですね。
一同
なぜ大善基準(笑)。
最終的には逗子の海
小池
奥さんがライターをやっていて「アンドサタデー」を取材したときに、逗子の治安がいい理由として、若者がたむろする場所がないからって。そもそも逗子は山の割合が多くて居住地が限られていて、チェーン店も少ないから治安がいいんじゃないかって話が、なるほどと思いました。
來島
たしかにやんちゃな学生はいないですね。唯一いるとすれば逗子銀座通りの居酒屋のあたりとか、マクドナルド周辺。逗子にはヤンチャするところがないですね。
小池
初めて逗子に来て最初の数カ月で海に行ったときに、海岸の砂浜で、これから付き合うのか付き合ったばかりかわからない高校生のカップルが、炭酸飲料のMATCHを分け合ってる場面に出会って、あだち充の漫画みたいだなと思って。
來島
甘酸っぱいな。テトラポットでそんな光景があるんだ。
小池
感動した記憶がありますよ。
來島
確かにコロナ禍になってから、海岸でデートっぽい感じがあったり、青春を謳歌している若者が増えましたね。
小池
逆に以前はなかったんですね。
來島
今は行くお店もないし、お金もそんな使えるところもないし、テトラポットに並んでたり、階段の端っこに行って飲み食いしたり。
小池
僕がそのカップルを見たのは22時くらいの遅い時間帯で。お前から言うんだぞ、頑張れって勝手に思いました。
來島
その時間帯からは行くところもないね。地域密着シリーズ面白いな。ズシレコラジオもゲストを呼ぶといつも真面目な話になるんだけど、今日の大善から半径200メートルぐらいの話とかもめちゃめちゃ面白いと思ってて。僕はこういうことがしたかったんだ。
一同
笑
來島
超ニッチなローカルメディアはこれだなって思いました。テトラポットでちょっとしけ込んで、どうしようかとなったら。
テトラポットでしけこむってどういうこと?
來島
タクシーを頑張って呼んで、葉山にモニカってちょっと休憩できるところがあるんですけど、そこに行くんじゃないですかね。
小池
なるほどモニカ。休憩3000円ぐらいのところがあるんですね。
來島
4000円かな。葉山から横須賀に向かう道は、宿泊・休憩のできるところがありますね。
小池
そうなんだ。
來島
江ノ島の方へ行くと昔はいわゆるラブホはあったんですけど、最近は家族で泊まれるところが増えてます。
小池
逗子の海は健全ですよね。
來島
健全です。それは夏もそうだし冬もそうです。鎌倉の由比ヶ浜に行くと滑川という川の河口が由比ヶ浜に通じてるんですが、河口付近にはコンクリートの壁みたいな座るところがあって、そこは逗子海岸のテトラポッドみたく男女がいますね。
京都鴨川の河川敷みたいな?
來島
そうそう。男女2人組のグループが定間隔で並んでる。
高校生は習性があるのかな。
來島
僕は逗子中学校→逗子高校なんですけど、合唱コンクールや文化祭とイベントがあるじゃないですか。それが終わった日の夜はみんなテンション上がってるから、どこかへ行くとなったら、最終的には海に行くんです。海に行ってもどうするわけでもなく。飲むわけでもなく。で解散。
自分は近場に海もなかったから、そんな思い出はないな。
平林
海があるかないかで変わってくるのかもね。
來島
何か困ったときは海に行けばいいというのは確かにありますね。
平林
海の力を借りることが出来る?
來島
そうですね。
小池
海を見ていれば何となく間が持ちますからね。
京都も市内の人だったら、もしかしたらちょっと寺行く?になるかもしれないけど。
來島
それは真面目な感じだし、やんちゃしている人たちは寺には行かないもんね。
海には砂浜があるもんね。逗子市民にアンケートを取りたいよね。若いころ最終的にはどこに行きましたか?みたいな。
來島
海がいろいろな要素を包み込んでくれますからね。何でも叶えてくれる。困ったら海って。
困ったら海ってオチみたいでいいね。
來島
僕もズシレコラジオでたまにゲストに聴くんですけど、逗子でオススメスポットとか好きな場所はどこですかって聴くと95%が海。
それで意外と山もいいんだよという話をよくするんですよ。海に帰るのが本能なんでしょうね。
小池
來島さんはマリンスポーツをやるんですか?
來島
それ、よく言われるんですけど、やってないんです。
小池
よかった。僕も同じです。
來島
逗子にずっと住んでたらやらないの?ってね。僕のコンプレックスほどじゃないんですけど、逗子だったらマリンスポーツやってた?とか、逗子に引っ越してくる方ほど、移住してくる目的がサーフィンとかSUPで。
小池
僕もまったくマリンスポーツに興味ないので良かった。逗子に引っ越した理由としてめっちゃ聞かれるんですよ。マリンスポーツ好きなの?みたいな。僕はずっと家でゲームをしていますからね。
今回はズシレコとコラボ
Edit & Text:Daisaku Mochizuki
Photo:Katsumi Hirabayashi