2020年6月8日スタート。から半年。
まえとあと、2020年6月8日に開始してから、早いもので半年が経過しました。
あの事件後、いわゆるナニクソ根性で「まえとあと」を個人で立ち上げる無謀を起こし、ここまでやってきました。
普通の人だったら、たぶんある程度勝算がないとやらないと思います。普通ならやらない方がいいです。でもそういうことではないんです。
世の中には表向きに話している内容と、実際の行動が違う人がたくさんいることを社会人生活を通して知ることが多くありました。個人で何かそれに抗したくなりました。まだまだ短い社会人生活のなかで、言い訳の虚しさをたくさん感じてきました。それは自分もそうだし、自分に向けられたものもそうだし。
やっぱりやってきたことが、ある種ボタンひとつで消されてしまうような儚い存在であるというのは、本当にショックなことです。
消されてしまうのであれば、消されないモノをまた新たに紡ぎ出せばいい。答えは簡単だけど、それを実現するのは本当は難しいものです。
でも、恵まれたのは周りに多くの友人がいました。僕の社会人生活に何か素敵な幸せがひとつでもあるんだとしたら、それはいろんな示唆に富む人たちに出会えたことです。まえとあとは、それで出来上がっています。それもある意味前と後です。
様々な角度と価値観。
僕はここに至るまで、いろいろ仕事を変えることが多いことは、紛れもなく事実としてあります。ただその経過はある種偶然であることが多いです。一方でTwitterが日本でも流行り始めたタイミングで最初は些細なノリで始めたツブヤ大学は、2010年1月に本格的に開始して以降、10年も続いています。
だから、結局どんな角度、どの面で見るかで、その人に対する見方は変わってくるのかを、地で行ってます。
まえとあとで実現したいことは、そこで儲けてやろう、みたいなものとは別の価値観です。いろんな価値観が世の中にはある。それは常に一定のものではなく、ある種様々に変容し漂いながら、収斂していくような気がします。1ミリも変わらず一貫して同じ価値観を持って生きている、みたいな人は存在しないはずです。
前のメディアの取材で、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんにそれに近いことを伺い、いま余計にこんな困難な時代だからこそ、余計にそれを感じます。この困難だったからこそ、まえとあとは生まれたとも言えますし、それが結果的に良かったのか悪かったのかは、まだ全然答えは出ていないけれど、少なくとも記事を読んでくれた人がくれる何かしらのコメントには嬉しいものが多いのも事実で、それは自分が前に邁進できるエンジンになっています。
だから、どんな「まえとあと」で変わったのか。そしてどう変わったのか。特にいまこんな状況だからこそ、それを積み上げていく意味もあるはずです。
こういったコンテンツを作っていて面白いのは、積み上がれば積み上がるほど、どんどんと同じような価値観を個々のコンテンツが持ってくることです。何も意図していないにも関わらず、収まっていくべきところに収まっていく感覚が不思議で楽しい。
今回も半年やってみて、そうなる萌芽はありますが、まだどうなるのか分かりません。
でもその過程を楽しみながら作っていくのが、メディアづくりの醍醐味なのかもしれないと最近思い始めている自分もいます。
まえとあとのサポーター制度は、自分の励みにつながる仕組み。
絶望と一瞬に信頼が消滅した3月末から、「えっ、この状況で無職にされるの? え、まじ?」なところから、今回本当に成り行きでフリーランスになる道を選ばざるを得なかった。かつ真っ暗な夜道を常に歩き回るような、個人でメディアを立ち上げるなかで、本当に励みになるのが、まえとあとのサポーター制度です。
古くからの友人などは加入してくださる人もいるかな、という淡い抱きながら始めるなかで、現在20人以上の方に加入いただいています。本当に自分の励みになっています。そしてそのなかでも、TwitterやFacebookに流れてくるフィードのなかで「まえとあと」の存在を認知して、そしてサポーターになってくれた方々が幾人もいます。
僕自身が面識がある人ならまだしも、僕自身も会ったことがなく、まえとあとのコンテンツの中身だけでサポーターになってくださっている方々の存在が、1人以上もいるという事実は、他人よりも自己肯定感が低い自分にとっても、数人でも大きな財産です。自分がやっていることを評価して参加してくださっている事実は、紛れもなく大きな力になっています。
最近久しぶりにウルトラマンZを全話見ています。もうメビウス以来何年ぶり?ぐらいにしっかりとウルトラマンを見ています。僕もそれはきっかけがSNSでの投稿でした。
いきなり何の話やねん、って話だと思うんですけど、やっぱり良いコンテンツは人を惹きつけるんだな。ということをまざまざと実感しました。ウルトラマンZは毎話毎話面白い。SNSでも炎上どころか絶賛の声のほうが多い。最近こんなにも絶賛されているコンテンツってないんじゃないか?と思えるぐらい。それと掠っているぐらいですが、ちょっとした縁も感じる作品だったことも原因かもしれませんが。
個人的にページビューよりもシェアされた数を重視しています。もちろんページビューも大事ではありますが、それはあくまでも参考で、やっぱりどれだけの人に拡がっているかのほうが、長期的に考えたときのコンテンツの質として重要だと感じています。まえとあとに関しては瞬間風速で見られるよりも、細く長く見てもらえるようなものを目指しています。
まだまだまだまだ小さなメディアなので、もっと多くの人たちの元へ届くためには、小さな一歩をたくさん増やしていくことしか手段はありません。魔法なんて存在しません。それでも何百ものシェアが生まれる記事がいま現実としてあるのは、本当にそういった一歩の積み重ねの結果なんだと思います。
ここでは、僕の届けたいものをできる限り、ずっと届けていくつもりでいます。引き続き暖かい目で見守っていただけたら嬉しいです。陰ながらではなく真正面から見ていただけたら、なお嬉しいです。面白かったと思える記事があったなら、ぜひ拡げてください。
また半年後、前回は言えなかった一周年を迎えられている自分であれと願います。
Edit & Text:Daisaku Mochizuki
Photo:Katsumi Hirabayashi